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2009年10月31日

わが子へ

ねぇ 聞いてほしいことがあるの
時々でいいから
空を見上げて
風を感じて
土のにおいも
雨のにおいも
移り変わる草花も

ねぇ 時には足を止めたっていいんだよ
足を止めて
流れゆく雲を見上げて
流されてもいい
振り返ってもいい
迷ってもいい
行く先を見失っても

この空はいつもあなたと共に……
posted by houmonkangoshimama at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

小説 inthegray〜2−2

2-2
 華楠と出逢った日から、梓夕はほぼ毎日、彼女の働く「料理屋吉」に通い詰めていた。

 店の常連客にも顔は覚えられ、話こそしないがよく声をかけられるほどだ。

 華楠はいつも笑顔で梓夕にコーヒーを出した。そして彼女は、仕事をしながら、カウンターごしによく話し掛けた。

 店のざわめきを背後に感じながら、梓夕は静かに華楠の話を聞く。質問されれば答える。

 食事が終わっても、その空間を満喫するためだけに、彼女の仕事が終わるまで店にいることもある。

 そこは彼女の笑顔で満たされた心地よい空間。鮮やかに彩られた彼女自身から発せられるエネルギーで満たされた空間。

「いつも来てくれてありがとね。」

 華楠はコーヒーを差し出しながら言った。

 梓夕はカップに口をつけると、まだ火を付けていない煙草を弄び始める。

 今日の店は暇そうだった。

 何故なら、華楠がカウンターの中でずっと食器を磨いていたから。

 梓夕は昼食を食べ終えてからは、彼女の後姿を眺めていた。二人の距離は約1.5m。この距離をこれ以上縮めたらきっと、華楠はこの街に同化してしまう。梓夕が身に纏う犯罪という色に侵されてしまう。そう、こうやって眺めているだけで十分なんだ。
posted by houmonkangoshimama at 09:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 タイトル「in the gray」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月30日

ハロウィン

ハロウィンです。
ちっとも片付かない家だけど、なるべく季節感だけはこどもたちに伝えたくて、季節の飾り物を100円ショップで必ず買ってきます。
ま、こどもが通う幼稚園は仏教なので、ハロウィンもクリスマスもあまり縁がないんですけどね。

買い物の時に、小さいクッキーでも買おうかと思っていたのに
すっかり忘れちゃったダッシュ(走り出すさま)

気分はこれだけ右斜め下
pampkin.jpg
posted by houmonkangoshimama at 19:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 子育て日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

皮膚乾燥

2.乾燥肌の原因
────────────────────────────────

1)洗顔・スキンケア

きれいな肌を保つためには洗顔が欠かせませんが、強い洗顔料を使って
洗顔しすぎると、肌を保護する“皮脂”まで洗い流されてしまいます。
肌を守る皮脂がなくなると、肌の水分まで蒸発してしまい、
油分と水分が両方とも不足する事態になってしまうんですね。

洗顔の後に、肌が突っ張った経験ありますよね?
これは肌に必要な皮脂が失われて、危険な状態になっているサイン。
この状態が続くと、深刻な乾燥肌になってしまいます。

乾燥した肌に油分の多い乳液やクリームをつけるのも逆効果。
水分が肌に浸透できなくなってしまいますので、まずは水分を
たっぷりと補うようにしましょう。


2)湿度

秋から冬にかけては、乾燥肌で悩む人が急増しますね。
これは空気が乾燥してくるからです。
外気が乾燥すると、必然的に肌の水分が奪われてしまいます。

最近は、夏でもエアコンが原因で乾燥肌になる人が増えています。
エアコンは温度とともに湿度も下げ、室内を乾燥させてしまうんですね。
その中で1日中過ごしていると、肌の水分まで奪われてしまいます。


3)紫外線

わたし達の肌は、約28日間の周期で生まれ変わっています。
(ターンオーバー)
紫外線を浴びた肌は、ターンオーバーの周期が早まり、
保湿能力の低い肌になってしまいます。

バリア機能も弱まりますので、ダメージを受けやすく、
乾燥肌になりやすい状態になってしまいます。

また、紫外線は肌のコラーゲンを減少させてしまいます。
コラーゲンがなくなると、肌のはりや保湿力が弱くなり、
乾燥肌になりやすくなってきます。


4)老化

わたし達の肌では、ヒアルロン酸がコラーゲンと水分を結ぶ働きをして
肌をみずみずしく保つ役割を果たしています。
しかし、体内で生産されるヒアルロン酸やコラーゲンは、加齢とともに
徐々に生産されなくなってきます。
コラーゲンを増やし、水分量を保つ働きをしていた女性ホルモンが
加齢とともに減少するからなんですね。


5)生活習慣

喫煙、食事、ストレスなどの生活習慣も乾燥肌につながります。
これらの生活習慣が、活性酸素を増やして脂質を酸化させたり、
代謝レベルを落として、肌のターンオーバーを乱すことになります。

タンパク質の少ない食事や偏った食生活も、細胞の生まれ変わりを
遅らせたり、肌の健康状態を損なって、乾燥肌の原因になってきます。


乾燥肌を引き起こす原因は、ひとつだけではありません。
いくつかの要因があって、そこに乾燥した季節が訪れたことで
乾燥肌の症状が出やすくなっているんですね。

posted by houmonkangoshimama at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 子育て日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

10/30

薬が変わって一週間。もしかして大分調子がいいのかも。
今週は、旦那の帰りが遅くて、私たちが起きている時間には帰ってこれない状態で、
夜も頼れなかったけど、気づけば、週末までなんとかたどりついた。
昨日・今日と頓服薬も飲んでないくて動悸もなかったし。
そして今頃ひとつ気づいたことがある。先日まで毎日頓服薬を飲んでいたせいだろうか。
頭痛が全然なかった!
薬が着実と増えていくのはどうかと思うけど、でも頓服薬、定期薬にしてもらった方がいいのかな。

明日・明後日二日続けて研修。休みにして休みにあらず。
来週もつかな〜たらーっ(汗)
posted by houmonkangoshimama at 08:22| Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病奮闘記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月29日

小説 inthegray2−1

2 彼女が生きる空間
2-1

「なんでよー。どうしてなのよー。 今日会ったばっかりなのに、どうしてあんなことするの?」

 華楠はぶつぶつ呟きながら、廃ビルを出て料理屋の方へ向かって歩いていた。

「初めてだったのに……。 一発殴っただけじゃ気がすまない。もっと殴ってくれば良かった!」

 華楠は両手を握り締め、怒りを顕にしていた。

 闇に包まれた「死に神の通り道」では、夜行性の人間達が姿を見せ始めていた。

 路上に座り込み、たむろしているグループがいくつかあった。口笛を吹き、下品な言葉で華楠の気を引こうとする。梓夕への怒りに燃えている華楠は、そんなことにはまるで気づいていない。

「ねえ、お姉さん、遊んでいかない?」

 華楠の目の前を、行く手を阻むように長髪の男が立ち塞いだ。

「ちょっとでいいからさ。遊ぼうよ。」

 男はまた言った。

 華楠は目を合わせないようにし、逃げ出す隙を伺った。

 しかし、華楠が一歩右へ踏み出そうとすると、男もそれに合わせて足を踏み出す。彼女の動きは読まれていた。 そのうち、路上に座っていた別の男達が立ち上がり、華楠の両サイドに立った。

「こんなときにお兄ちゃんがいてくれたら……。」

 華楠の、この祈るような囁きは、男達には聞こえない。

「なあ、いいだろ。いい所に連れてってやるよ。」

「こんな時間に通りを歩いてるんだから、勿論そのつもりだよな。」

 目の前の男に腕をとられそうになって、華楠は反射的にそれを振り払った。

「おっと、面白いことするね。嫌がられると、燃えちゃうのよ、俺。」

 一人ぐらいなら、逆らっても逃げ出せる自信はあった。伊達にこんな街で生き抜いてきているわけじゃない。自分の身を守る術くらいは心得ている。しかし、相手は男三人。その上、周囲のギャラリーは、何かが起これば参戦できるように身構えている。今ここで敵意を剥き出しにしても、勝ち目はない。

 華楠は身の危険を感じた。ぞくっとして、全身がしっとりと汗ばんできたのがわかった。

「俺達とイイトコへ行こうぜ。」

 華楠は何もいえず、何も出来ず、立ち尽くした。

「覚悟決めた?」

 こう言って、右にいた男が華楠の背に手を回そうとした。が、その手は華楠に触れることは出来なかった。男は、ドサッと音を立て、華楠の足元に倒れた。

「悪いがこの女は貰っていくよ。」

 倒れた男を見、すぐ声のする方を振り返った。そこには梓夕がいた。

「横取りする気か?」

「横取り?人聞きの悪い。この女は、俺が先に予約していたんだ。」

 梓夕は親しげに華楠の肩に腕をまわした。

 そして彼女の耳にキスしながら囁いた。

「もう殴るなよ。こうでもしないと、切り抜けられないだろ。」

「そんな嘘を言われて易々と渡すかよ。」

 言葉尻を強く言うと、男は梓夕に向かって殴りかかった。梓夕は華楠を抱えたままそれを避け、軽く踵落しを見舞ってやった。仲間が二人ノックアウトされると、華楠の左にいた男は、何も言わずに逃げ出した。

 梓夕が華楠の肩を抱き、共に歩き出すと周囲から「つまらない」意を表す溜息が聞こえた。

 梓夕は真っ直ぐ前を向いて歩いていた。

 肩に置かれた手は温かかったけれど、梓夕の瞳は遠くを見つめていて、心はここにない、と華楠は思った。何の気もないくせにどうしてキスなんかしたのか、その理由が知りたくて仕方なかったが、華楠は俯いて言った。

「ありがとう。さっきはごめんなさい。痛かった?」

「あんなの殴られたうちに入らない。」

 梓夕は冷ややかに言った。

 言ってから後悔した。華楠に惹かれて後を追い、漸くその輝きを捕まえたのに、これでは遠ざけようとしているみたいだ。

 梓夕は華楠に嫌われたくはなかった。別に好きになって欲しいと思っているわけでもない。

 ただ、直視できない程の眩しい色彩を放つ女を側においておきたい、手に入れたいと強く思った。この危険で汚い街で、どうして輝いていられるのか、その訳を知りたかった。

 華楠が輝いている理由を知って、一体どうするのだろうか。自分でも良くわからなかった。

「家はどっちだ?送っていく。」

 その言葉で梓夕が怒っていないことに気づいた華楠は、足取り軽やかに梓夕を自宅まで案内した。

 華楠のアパートは、「料理屋吉」よりも「地獄の階段」側にあった。「死に神の通り道」を右にそれて路地に入ると、彼女のアパートはすぐだった。

 闇に包まれてその外観は良くわからなかったが、アパートは二階建てで箱の形をしていた。階段の下には中型のバイクが置いてあった。近づいて見ると、色はブルーブラックで、形はレーシングタイプだった。

「そのバイクかっこいいでしょ。私のなんだ。」

 華楠は言った。

「部屋はこっち。」

 軽やかに階段を上がっていく。

 階段を上がりきると、向かって右側の角部屋に彼を案内した。

「驚いたな。」

 梓夕が言う。

「何が?あ、バイクのこと?乗るようには見えないってよく言われる。だけど、こんな街だし、足がないと辛いからね。」

「いや、それだけじゃなくて。 隣なんだ。」

「隣?」

 梓夕に言われて華楠は左を見た。梓夕は左隣の部屋を指していた。

「今日から住んでる。 とはいえ、まだ荷物は届いていないし、今初めて入るんだが。」

 華楠は一瞬梓夕を見据えると、笑って言った。

「冗談でしょう?」

「いや、本当だ。」

 外は暗がりで表情はよくわからなかったが、からかっている様子はなかった。

「そう……。すごい偶然だね。」

 華楠は、部屋の鍵を開けた。ドアノブに手をかけ、扉を手前に引いて開けた。

「荷物届いてないなら、まだ部屋に何もないんでしょう?お茶でも飲んでいく?」

 梓夕は無言で頷き、華楠の部屋に上がった。

「汚い部屋でごめんね。」

 梓夕のあとから部屋に上がった華楠は、後ろから声をかけ、部屋の明かりをつけた。

 梓夕は一歩部屋に踏み込んだところで、思わず立ち止まった。

 目の前にたくさんのネガフィルムが垂れ下がっていたからだ。

 その数の多さに圧倒された。

「あまりの散らかり様に呆れてるんでしょう。 ま、とにかく中に入って、適当な所に座ってて。今お茶いれる。」

 華楠は玄関の脇に荷物を降ろすと、右脇にあるガスレンジにやかんをかけた。

 天井には洗濯用のロープが斜めにかけられ、写真のネガフィルムがいくつも吊るされていた。梓夕はフィルムの暖簾に触れないようにそれをくぐった。右にはキッチンと冷蔵庫、左にはトイレと風呂場があった。そして、引き戸で仕切られた先には、八畳のフロア。

 彼は西側に設置されたベッドに腰をかけた。

 華楠も引き続き部屋に入ると、西の出窓と南の大窓のカーテンを引き、白色蛍光灯の電気をつけ、南側に置かれた棚にあるステレオのスイッチを入れた。穏やかなクラッシックが鳴り始めた。それから棚の前に散らばった写真を一纏めにすると、プラスチックの籠に放りこみ、それを棚に置いた。

「昨日写真を整理してたの。でも撮ったときのことを思い出すばかりで、ちっとも片付かなくって。」

「写真撮るのが好きなのか?」

「うん。大好きよ。 それに、一応これでお金貰ってるんだ。」

 華楠は着ていたG−ジャンをクローゼットにしまうと、梓夕の着ていたトレンチコートを壁の張り出しに引っ掛けた。

「あの料理屋はバイトか?」

「うん。写真だけで食べていくのはさすがに不安だから。こんな街だし、いつお金が必要になるかわからないしね。」

「ふうん。」

 梓夕は落ち着かない様子で部屋を見回していた。

「ねえ、あなたの部屋も、同じ間取りかなあ?」

「さあね。何しろ、まだ一度も見てないんでね。」

「部屋、見ないで決めたの?」

「ああ。見たって別に……。どこもそう大差はないだろ。」

「うーん。そうかもしれないけど、部屋を探すのって楽しくない?私、色々見て回るの好きだけどなあ。」

 やかんの湯が吹きこぼれる音がした。華楠は慌ててキッチンへ飛んでいく。

「なあ、そこのネガ、自分で焼いてんの?」

「うん。勿論。」

 華楠はお茶の入ったカップを二つ手に持って、戻ってきた。カップをテーブルに置くと、側にあった大きなウサギのぬいぐるみを抱え、カーペットに腰をおろした。

「はい、どおぞ。」

「サンキュ。」

 梓夕はカップを手に取った。 一口飲むと、言った。

「ね、写真見せてくんねえ?」

「いいよ。」

 華楠は棚の一番下にあったハードカバーの本を差し出した。

「これは、私の初の写真集。」

「へえ。」

 梓夕は、差し出されたそれを手にとった。

 表紙は満月の輝く夜空で飾られていた。ページをめくってみると、空、街の風景を撮ったものが続いた。そのうち、写真に男の姿が写るようになった。初めは風景写真の隅に後ろ姿を写す程度だったが、次第に男自身にフォーカスは移っていった。男がバイクをいじっている姿、バイクを走らせる姿、バイクを止め駐車場で一休みする姿。男の生活をドキュメントしているようだった。最後は男が煙草をくわえ、空を仰ぎながら道行く姿を収めていた。男が魅力的な人物だったというわけではない。珍しい風景を写していたというわけでもない。ありきたりの素材で、ありきたりのストーリー写真。だけど惹かれた。華楠自身が放つ強い色彩のように、その写真もまた、アルバムからはみ出さんばかりの色彩を、輝きを放っていた。きっと梓夕の目には、灰色にしか写らない風景も男の姿も、華楠にはこんなにも輝いて見えている。

 梓夕はアルバムを閉じて華楠に返した。

「いい写真だな。」

「ありがとう。」

「そのアルバムに写っている男は誰だ?」

 梓夕自身も華楠の目にはあんな風に映っているのだろうか?

 そんなわけがない。だって、自分は.こんなにも犯罪という色で塗りたくられているのだから。

 華楠はアルバムを開き、梓夕の言う人物が誰なのかを確かめた。

「これね、これは私の兄貴。」

「兄弟がいるのか?」

「うん。居た。 兄貴は二年前に死んじゃったけどね。」

「そうか。」

 古傷をえぐるような話をしてしまった、と心の隅で少し後悔する。

「私ね、母さんも父さんも居ないの。母さんは私を生んだときに、父さんは私が十二歳の時に死んだわ。 この街じゃ珍しい話ではないでしょう。」

 華楠は微笑みながら言うと、アルバムを棚へ戻した。

「でもね、私、とっても幸せだと思うんだ。父さんも母さんも兄貴も今は居ないけど、生きてるときはすっごく優しくて私のこと大切にしてくれたの。今は一人だけど、お店のマスターや、この下の階に住んでる瑠璃さんや、兄貴の友達がとても親切にしてくれるし。 やりたい仕事もあるし。」

 この街で、華楠の他に自分の人生を幸せだという人間は一体何処にいるだろうか。

 絶対に居ない。居るわけがない。このスラム街でそんなことを思う奴はいない。梓夕はそう思った。

 その時、玄関の戸を叩く音がした。

「誰だろう。」

 華楠はそう呟いて立ち上がり、戸を開けた。

「はーい?」

 扉の向こうには、背の高い女性が立っていた。

「かなちゃん、私よ。 これから仕事に行くんだけど、その前にね、シチュー作りすぎちゃったから持ってきたの。」

 その声は低めのハスキーボイスで、とても女性の声には思えなかった。

 梓夕はその女性の姿を凝視していた。

 髪は長く、体毛もなく、胸はあり、とてもきれいな人だったが、その角張った体つきは男のそれだった。

「瑠璃さん、いつもありがとう。うれしい。」

 華楠は瑠璃が持っていた器を受け取った。

「あら、お客さん?」

「うん。今日からお隣さんなの。」

「そう。こんばんは、私下の階に住んでる瑠璃って言うの。よろしくね。」

 瑠璃は、部屋の奥にいる梓夕に声をかけた。

 梓夕は瑠璃に向かって軽く頭を下げた。

「あら、無愛想ねえ。彼、名前はなんていうの?」

 華楠が答えようとすると、梓夕は立ち上がり、二人の元までやってきて言った。

「梓夕。」

 素っ気無く、ただ一言。俯き表情さえも見せない。

「俺、部屋に帰るよ。ごちそうさん。それから、玄関にはチェーンぐらい掛けておけよ。無用心すぎ。」

 梓夕は瑠璃を押しのけるようにして出て行った。

「顔はイイのに、冷たい男ね。 かなちゃん、気をつけなくちゃ駄目よ。嫁入り前の女の子がそう簡単に男を部屋に入れるもんじゃないわ。」

「うん……。でも悪い人じゃなさそうだし。私のこと助けてくれたのよ。」

「それが手かもしれないじゃない。かなちゃんはお人好しなんだから。もう心配。」

 瑠璃は甘い声を出して、華楠を抱きしめた。

 華楠は、軽く抱擁し返すと、瑠璃に言う。

「瑠璃さん心配してくれてありがと。 ねえ、時間は大丈夫?」

「あら、いけない。 私行くわね。」

 瑠璃という名のニューハーフはドタドタと足音を立てて階段を下りていった。
posted by houmonkangoshimama at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 タイトル「in the gray」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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